論文掲載 Journal of Bone & Joint Surgery
大学院博士後期課程在学中の星川恭賛さんの研究論文が,Journal of Bone & Joint Surgeryに採択されました.本論文は村教授指導のもと留学先のテキサス大学サンアントニオ校医工学部のHugo Giambini教授の研究室で行った国際共同研究です.
肩腱板断裂では,上腕骨頭の上方偏位が頻繁に観察され,疼痛との関連が報告されています.しかし,残存腱板筋による代償的作用が骨頭上方偏位に与える影響は明らかではありません.本研究では,新鮮凍結肩を用いて,残存腱板筋による代償的作用が上腕骨頭の偏位に与える影響を検討しました.
その結果,棘上筋腱+棘下筋腱を含む後上方断裂において,残存腱板筋(特に小円筋および肩甲下筋)による代償が,上腕骨頭の上方偏位を効果的に抑制しました.しかし,上記の断裂に加え,肩甲下筋の上部1/3の断裂を含む場合には,この代償作用は上方偏位の抑制としては不十分でした.
以上から,臨床における後上方断裂の患者さんに対して,残存する腱板筋,特に肩甲下筋および小円筋の筋力強化に焦点を当てた保存療法が有益である可能性が示唆されました.一方で,肩甲下筋腱を含む修復可能な広範囲断裂の患者さんに対しては,少なくとも肩甲下筋腱を完全修復する腱板修復術が有益である可能性が示唆されました.
論文名
Muscle Compensation Strategies to Maintain Glenohumeral Joint Stability in Rotator Cuff Tears: A Cadaveric Study
DOI:10.2106/JBJS.24.00411