論文掲載 Cureus
大学院博士前期課程在学中の山口翼さんの研究論文が,Cureusに採択されました.本論文は,加藤浩教授の指導のもと実施した研究です.
これまで歩行時の腕振りの発生要因の1つに脊柱回旋運動の影響が指摘されてきました.しかし,どの高位が強く関連しているのかについては詳細が不明でした.そこで,本研究では,若年健常男性21名を対象に,トレッドミル上での一定速度の歩行における腕振り角度と脊柱の各高位(上位胸椎,下位胸椎,上位腰椎,下位腰椎)の回旋角度との関連性について検討しました.その結果,腕振り角度は左腕が右腕よりも有意に大きく,脊柱の各高位の回旋角度では,上位胸椎が全高位中で最も小さい値を示しました.腕振り角度と脊柱回旋角度の関連では,左腕の腕振り角度と下位腰椎の回旋角度との間に有意な正の相関(r = 0.50)が認められました.以上から,定常歩行時の左腕振りは,下位腰椎の回旋運動による局所的な影響を受けるものの,脊柱回旋運動以外の他の複数の要因が影響している可能性が示唆されました.
本結果は,異常歩行の評価や歩行機能の改善を目指したリハビリテーションの開発,さらにADLやQOLの向上に資する基礎資料となる可能性があります.
論文名
Relationship Between Arm Swing Angles and Intervertebral Spinal Rotation Angles During Treadmill Walking
DOI:10.7759/cureus.81210