1. HOME
  2. こちら学長室です。
  3. 学長メッセージ集

令和6年度卒業式・学位記授与式

 卒業生の皆さん、修了生の皆さん、保健医療学部の卒業および保健医療学研究科の修了、誠におめでとうございます。本学入学以来、皆さんが、積み重ねた日々の努力が実り、本日を迎えることができました。私共教職員一同にとりましても大変悦ばしく、心よりお祝いを申し上げます。卒業生・修了生の皆さんを今日まで物心両面で支えてこられましたご家族・ご親族・関係者の皆様にとりましても、大変待ち望まれたご卒業・ご修了であろうと拝察しております。あらためて、お慶びを申し上げます。

 また、本日は、山形県副知事 平山 雅之(ひらやま まさゆき)様、本学同窓会会長 長塚 真紀子 (ながつか まきこ)様をはじめ、本学にゆかりの深い皆様から多数ご臨席いただいております。ご来賓の皆様、ご多忙中のところ、誠にありがとうございます。

 さて、皆さんが本学に在籍した4年間に実にいろいろなことがあったと思います。周囲に目を向けても、30歳の大谷翔平選手が大リーグで大活躍をして3度のリーグ最優秀選手(MVP)と前人未到の「54本塁打&59盗塁」をマークしたり、22歳の藤井聡太竜王が将棋界で史上初の八冠に輝いたり、仙台市出身の27歳の一力遼さんが囲碁界で四冠に輝き、さらに、世界大会である応氏杯世界選手権で日本勢初優勝、と若い世代が大活躍しました。医療面では何といってもノーベル生理学・医学賞に輝いたカタリン・カリコ教授やドリュー・ワイスマン教授のメッセンジャーRNAを用いた新型コロナウィルスワクチンの開発などです。これらすべてに共通するのは、人並み以上に絶え間ない努力を続けてきたことと、そして、過去にとらわれず新しいことに挑戦し続けたことです。日々新たな挑戦・革新・継続、これらなしに私たちの未来はありません。

 卒業に当たって皆さんに特にお願いしたいことが2つあります。1つ目は、ぜひ、本学で学んだということを誇りとして、本学卒業生としての矜持を忘れることなく過ごしていってほしいということです。本学は、2000年に4年制大学として開設され、卒業生は約2,000人を数え、山形県内はもちろん、東北地方や全国で保健医療の専門職や指導者として大活躍しています。これからは、いよいよ皆さんもその輝かしい一人となるわけです。

 本学で、皆さんは、少人数制によるきめ細かな教育、充実した多職種連携教育、多様な臨床・臨地実習の場で卒業生のネットワークや地域の協力に支えられた質の高い実践教育を受けてきました。また、実践的な英語教育や海外交流を基礎に、国際感覚豊かで世界で活躍できる世界水準の人材として育成されました。ぜひ自信をもって社会に飛び出していってください。

 山形県の医療・福祉も質・量ともに充実した国際水準であらねばなりません。私は3つの国際英文雑誌の編集長をしています。医療・福祉の情報は国際的には英語で発信されており、それを迅速にキャッチできる能力が必要です。私は本学に着任して丸三年になりますが、教員の皆さんと一致協力して取り組み、英語の授業に国際学会で使える会議英語の習得を加えました。また卒業論文に関しては担当指導教官の丁寧な指導による英文論文の検索・読解をもとにした卒業論文作成を行うようになりました。さらに、メンデルの法則のメンデルや心臓のプルキニエ線維のプルキニエにゆかりのあるチェコのマサリク大学医学部、台湾では最古・最大の看護・健康系総合大学である国立台北護理健康大学、中国では公立大学として非常に有名な上海健康医学院と国際交流協定を締結しました。さらに今年は、カナダやルーマニアの大学とも締結の予定です。このように国際化をさらに進め、世界水準の教育・研究を推進します。皆さんもこのような母校に誇りを抱きながら、各方面で今後活躍していってください。

 お願いしたいことの2つ目は自己研鑽です。これからは、皆さんが本学で学んだことを生かしながら地域が育ち、世界が育つように、地域・世界で貢献していくことになります。その意味では、今日はその初日にすぎません。国家試験合格はプロフェッショナルの入り口にすぎないのです。医療・看護・福祉の進歩は日進月歩です。本学で学んだ皆さんの知識は残念ながらあっという間に古くなってしまいます。時代遅れで誤った古い知識や技術のままで患者さんに対応するようなことがないように、自分を厳しく律し常に自分を磨いて下さい。それがプロフェッショナルということです。そのために、皆さん、ぜひ、学会に入会し、学会雑誌を読み、学術集会に参加して学びを続けてください。また、専門書や専門雑誌を購入し、英文論文をはじめとする学術論文を読んで、知識を日々新たにしてください。もちろん、自ら発表もしてください。

 本学では大学院での教育やリカレント学習の場を用意しています。卒業後もどうぞ母校を利用してください。皆さんにお願いしたいことは、以上の2つです。

 春の暖かさが少しずつ増してくるこの時期の気候は、卒業の慶びやこれからの仕事に対する期待が膨らむ皆さんの気持ちを象徴しているようにも思います。皆さんの輝かしい将来と計り知れない可能性を期待して、令和6年度の卒業式の告辞とさせていただきます。

2025年3月12日
山形県立保健医療大学学長 上月正博


Twitter YouTube