令和４年度卒業式・学位記授与式

　卒業生の皆さん、修了生の皆さん、保健医療学部の卒業および保健医療学研究科の修了、誠におめでとうございます。本学入学以来、皆さんが、積み重ねた日々の努力が実って、本日を迎えることができました。私共教職員一同にとりましても大変悦ばしく、心よりお祝いを申し上げます。卒業生・修了生の皆さんを今日まで物心両面で支えてこられましたご家族・ご親族・関係者の皆様にとりましても、大変待ち望まれたご卒業・ご修了であろうと拝察しております。あらためて、お慶びを申し上げます。

　また、本日の式典につきましては、コロナ禍での挙行であることを踏まえ、招待者を限定してご案内させていただきましたところ、山形県健康福祉部長　堀井　洋幸（ほりい　ひろゆき）様をはじめ、本学にゆかりの深い皆様からご臨席いただいております。ご来賓の皆様、ご多忙中のところ、誠にありがとうございます。

　さて、皆さんは、本学に在籍した期間のうち貴重な３年間を新型コロナ・ウイルスの感染拡大の中で過ごしました。生活に様々な制約が加わり、思いどおりにはいかなかったことも沢山あったかと思います。しかし、ひとつの出来事には良い面も悪い面もあります。新型コロナ・ウイルス感染症も必ずしもマイナスばかりではありません。皆さんは100年に一度ともいわれるパンデミックの中に身を置き、それに対する社会、コミュニティー、そして個人レベルでの対応を、身をもって体験されました。どうぞ皆さんには、今後、これらの体験について、様々な角度からの振り返りや検証をおこない、新たな保健医療体制の構築に是非積極的にかかわっていってほしいと思います。

　卒業に当たって皆さんに特にお願いしたいことが２つあります。１つ目は、ぜひ、本学で学んだことを誇りとして、本学卒業生としての矜持を忘れることなく過ごしていってほしい、本学の旗を背中に背負って生きていってほしいということです。本学は、2000年に4年制大学として開設され、これまでの卒業生は約2,000人を数え、山形県内はもちろん、東北地方や全国で保健医療の専門職や指導者として活躍しています。これからは、いよいよ皆さんもその輝かしい一人となるわけです。

　本学で、皆さんは、少人数制によるきめ細かな教育、充実した多職種連携教育、多様な臨床・臨地実習の場で卒業生のネットワークや地域の協力に支えられた質の高い実践教育を受けてきました。また、実践的な英語教育や海外交流を基礎に、国際感覚豊かでグローバルに活躍できる世界水準の人材として育成されました。ぜひ自信をもって社会に飛び出していってください。私は昨年４月に本学に着任して丸一年になりますが、英語の授業に国際学会で使える会議英語構文１００の習得を加えました。また、米国に加えて来週にはメンデルの法則のメンデルや心臓のプルキニエ線維のプルキニエにゆかりのある欧州、チェコのマサリク大学医学部と国際交流協定を締結して、国際化をさらに進めていきます。このような母校に誇りを感じながら、各方面で活躍していってください。

　お願いしたいことの２つ目は自己研鑽です。本学の皆さんは、地域で育ち、地域を学び、世界を学んできました。これからは、皆さんが本学で学んだことを生かしながら地域が育ち、世界が育つように、地域・世界で貢献していくことになります。その意味では、今日はその初日にすぎません。医療・看護・福祉の進歩は日進月歩です。本学で学んだ皆さんの知識は、残念ながらあっという間に古くなってしまいます。皆さん、ぜひ、学会に入会し、学会雑誌を読み、学術集会に参加して学びを続けてください。専門書や専門雑誌を購入し、英文論文をはじめ学術論文を読んで、知識を日々新たにしてください。もちろん、自ら発表もしてください。

　皆さんの多くは、来月から、社会に出てお給料をいただくことになりますが、手堅く貯金することが最高だとは決して思わないでください。ぜひ一部を自己投資して、生きたお金の使い方をしてください。ゆめゆめ、現時点のままとどまることにないようにしてください。そして、時代遅れで誤った古い知識や技術のままで患者さんに対応するようなことが決してないように、自分を厳しく律しながら常に自分を磨いて下さい。それがプロフェッショナルということです。本学ではリカレント学習の場や大学院での教育を用意しています。とても立派な図書室もあります。どうぞ母校も利用してください。皆さんにお願いしたいことは、以上の２つです。

　春の暖かさが少しずつ増してくるこの時期の気候は、卒業の慶びやこれからの仕事に対する期待が膨らむ皆さんの気持ちを象徴しているようにも思います。皆さんの輝かしい将来と計り知れない可能性を期待して、令和4年度の卒業式の告辞とさせていただきます。

2023年3月12日
山形県立保健医療大学学長　上月正博