論文掲載 Topics in Stroke Rehabilitation
外川佑准教授、中伊豆リハビリテーションセンター作業療法士 生田純一氏らの研究グループによる論文がTopics in Stroke Rehabilitationに掲載されました.
本研究は、国内の病院に普及している簡易型ドライビングシミュレータ(HONDAセーフティナビ)における運転操作課題を用いて、右半球損傷患者の運転再開可否との関連を調査した研究となります.
右半球損傷患者の中には、病院等で実施される一般的な机上検査で一見問題が無いように見えても、実車運転で初めて脱輪、走行位置の不良などの問題が顕在化する症例の存在が指摘されています.しかし、これまでこのような症例を検出するための検査ツールについて確立されたものはありませんでした.そこで今回HONDAセーフティナビの運転操作課題(視野_曲線路_単純反応課題)を用いて、右半球損傷患者の運転再開可否別に運転操作課題のパフォーマンスを比較したところ、運転不可となる症例においてシミュレータの三画面上に提示された信号への反応率が有意に低いことが明らかになりました.また、この運転操作課題の反応率について、運転再開可否をアウトカムとしたROC解析を実施した結果、感度、特異度、曲線下面積はそれぞれ0.692、0.812、0.738 [95%CI:0.541-0.935] となり、机上検査よりも良好な予測精度を有する可能性を示唆しました。本研究成果は、運転操作課題における反応率の低下が右半球損傷患者の運転適性と関連する可能性を示唆しており、右半球損傷患者の運転適性予測にも有用となる可能性が考えられます.
本研究室では、今後も国内の運転リハビリテーションに向けた研究を推進して参ります.
Tasuku Sotokawa, Satonori Nasu, Junichi Ikuta, Kazuki Sonohara: Evaluation of Driving Fitness Using Driving Simulators in Patients with Right-hemisphere Damage: An Unmatched Case-Control Study.
外川佑、那須識徳、生田純一、園原和樹:右半球損傷患者に対するドライビングシミュレータを用いた運転適性評価:アンマッチド・ケースコントロールスタディ