研究論文の掲載 2021/11/4
本学博士後期課程に在籍している工藤大輔さん(筆頭著者)と順天堂大学の山口智史先任准教授(本学客員准教授)の研究グループによる研究成果が国際学術雑誌Brain Stimulation(IF: 8.955,2020)にオンライン掲載(proof version)されました。
近年、非侵襲的に脳活動を変調することができる経頭蓋電気刺激法がリハビリテーションを促進する手法として注目されています。しかし、画一的な刺激設定による効果検証がなされており、効果の個人差が生じることから、最適な刺激設定の確立が臨床応用への課題となっています。
本研究では、対象者個別の生体信号として、脳と脊髄の同期的神経活動(脳波と筋電図コヒーレンス)の同期周波数に着目し、脳活動の律動性と興奮性を同時に変調できる律動的経頭蓋直流電気刺激(otDCS)の刺激周波数に応用するという、個別性を考慮した刺激設定を考案し、神経活動に与える影響について健常者で検討しました。
結果、個別の生体信号を刺激周波数に使用したotDCSにより、脳と脊髄の同期的神経活動および脳の興奮性を増大させることが明らかとなりました。
この脳と脊髄の同期的神経活動および脳の興奮性の増大は、運動機能の改善や運動学習の促進に重要な役割を担っていることが知られています。したがって、今回提案した個別の生体信号を刺激周波数に使用したotDCSは、リハビリテーションの効果を促進する可能性があると考えられます。今後、疾患例で検証を行っていきたいと考えています。
Daisuke Kudo, Tadaki Koseki, Natsuki Katagiri, Kaito Yoshida, Keita Takano, Masafumi Jin, Mitsuhiro Nito, Shigeo Tanabe, Tomofumi Yamaguchi
Brain Stimulation [in press]