地元ナース養成プログラム事業概要
地元ナースについて
1.「山形発・地元ナース養成プログラム」とは
超高齢化と人口減少が進展し、かつ医療資源や公共交通機関が少ない地域において、住民は「地元」の小規模病院・診療所、高齢者施設等(以下、小規模病院等)の医療福祉を頼りとしています。また、厚生労働省においても、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築を推進しており、小規模病院等が担う役割はこれまで以上に大きくなっています。
そこで本事業では、大学と小規模病院等が協働・連携しながら、「地元の医療福祉の担い手・住民の砦」として、地元住民の健康とQOLの向上に寄与できる「地元ナース」の養成を行うことを目的としています。
2.「地元ナース」とは
本事業では、地方の地元住民の多様な健康問題に幅広く対応できる看護職として、「地元ナース」という新しい看護職の位置づけを考えました。地元ナースは、地元の強み・弱みを包括的に捉え、多職種と連携し、住民力を活かした看護を実践する、これまでの臨床看護の範疇にとどまらないジェネラルな専門家としての看護職です。
3.なぜ、「地域」ではなく「地元」なのかーその1
地域(community)における看護について、看護学ではCommunity-Oriented NursingとCommunity-based Nursingとして整理され(宮崎・2006)、前者は行政分野等の保健師活動、後者は在宅看護活動として認識されています。一方、本事業の対象は小規模病院等において展開される看護実践(含む訪問看護)であるため、「地域」の言葉は用いないこととしました。また、「地元の強み・弱みを包括的に捉える」ことは、従前の臨床看護の範疇に止まらない内容です。そこで、地元ナースという新しい言葉を用いることとしました。
4.なぜ、「地域」ではなく「地元」なのかーその2
なぜ、「地域」ではなく「地元」ナースなのか。2つ目の理由として、地元就業の基盤形成を目指すことが挙げられます。
これまでの看護学教育において、地方における医療福祉の問題を大都市圏との比較を踏まえて体系的に教育していたか、というと十分ではありませんでした。また、小規模病院等の看護職の実践力向上の機械や大学教員の小規模病院等における実践経験も不足していました。
本事業は、学士課程教育・リカレント教育・人事交流の重層的な取り組みによって、Uターン・Iターンを含めた地元就業を学生・卒業生が誇りを持って選択し、地元ナースとして活躍できる基盤形成を目指すものです。
5.山形「発」の意味
地元ナース養成プログラムは「山形型」でも「山形方式」でもありません。医療資源と公共交通機関が少ない地方で活躍できる、ジェネラルな専門家である「地元ナース」養成プログラムの標準化を図り、山形から「発」信するものです。さらには、地元ナースとして、成果を国内外に「発」信できる人材養成を目指しています。
6.山形発・地元ナース養成プログラムで養成する人材像
本事業では、こんな人材の養成を目指しています。